【講演メモ】幻の東京オリンピック ー招致・返上・遺産ー

幻の東京オリンピック  ー招致・返上・遺産ー

1964年東京オリンピックの原型とも言われる1940年の東京オリンピック計画。
この<幻>のオリンピックの詳細についての講演を図書館イベントで開催していたので、興味を持って参加しました。

【内容】
講師:浜田幸絵さん(島根大学 法文学部 准教授)
日時:平成28年10月10日(月・祝)14時~15時30分
場所:某区立図書館
費用:無料

レジュメを抜粋しながら、講義メモをまとめてみます。

◆1940年東京オリンピック招致の発端

・1930年6月頃
東京市長・永田秀次郎が、山本忠興と懇談。
永田が、1940年に東京でオリンピックを開催したいために、山本に調査を依頼。
・1931年10月28日 オリンピック東京開催の建議案を可決(東京市会)
・1932年7月29日 IOCロサンゼルス総会で正式に立候補を表明
・1935年2月 副島道正、杉村陽太郎がムッソリーニと直接交渉し、ローマ辞退
・1935年12月18日 招致委員会結成
・1936年3月 ラツール来日
・1936年7月31日 東京大会招致成功

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◆1940年東京オリンピック招致の理由
・アジア(東洋)で最初のオリンピック
・関東大震災からの復興(1923年9月1日の壊滅的被害)
・紀元2600年記念
1940年は、皇紀で2600年目となる節目の年。
・スポーツ・オリンピックへの関心の高まり、

東京市が主体(実際は、市長というトップ)として誘致に熱心であった点は、2020年の東京オリンピック招致とかぶる要素を強く感じました。

ただし、2度目の東京オリンピックの目的が都民にも、日本国民にも、世界的にも伝わりにくいのではないでしょうか。

はたして、当時の東京市民の盛り上がりはだうだったのだろうかと想像しました。

時代背景としては、軍部が台頭して、社会情勢が少しずつ暗いムードに変わろうとしていただけに、明るいニュースに感じられたのでしょうか。

◆招致の問題は何か?
・理念はいいが、東京までの「距離」=時間と費用の問題(欧米各国から日本は遠すぎること…IOC会長ラツール)

・会期としていつスタートがベストなのか。
(1)8月1日開始案
(2)9月10日開始案
(3)9月20日開始案

万国博覧会とオリンピックの会期が重なることはNGとされていた。(過去の実績より、同時タイミングの開催は悪影響と思われていたらしい。

◆招致成功後の問題

メインスタジアム問題
招致段階では月島、神宮外苑であり、招致後は、駒沢移転で10万人規模のスタジアム構想。

一番驚かされたのは、メインスタジアムの場所が決まらないまま、招致が成功した点です。(2020年の東京オリンピックは、場所は決まっていたものの、細かい仕様、建築費用などは二転三転していましたが)

旧国立競技場近辺がベストであったと思いますが、駒沢移転案が10万人といういスケール感が突出しています。交通機関の問題、当時の建築・建設技術などで対応できたとは考えにくいのではないでしょうか。

その他にも、聖火リレーやポスターなどの問題が続くのも、2020年のロゴ問題などとイメージがダブります。時代が変わっても同様な問題が起こるのは、日本人が反省を生かしきれていない証拠なのではないかと疑いたくなります。

◆東京大会の準備~返上

1936年7月31日に招致成功。1938年7月15日に自主返上。
・日中戦争が1937年に開始
・資材が足らず、建築が不可能と判断 など。

社会情勢の不安定化もあり、平和の祭典である、オリンピックを開催できるような状況ではなくなったのではないかと想像します。

◆<幻>のオリンピック遺産

・競技場・運動施設
・IOC委員とのネットワーク(返上後すぐに再誘致の希望)

2020年の東京オリンピックは、1964年開催以来、2回目の開催予定です。
なぜ、オリンピックを開催したいのか。正直、私には理解できない側面があります。多額の費用をかけて、開催国が盛り上がるとしても、一時的なものにすぎません。作られて施設は有効活用するとしても、やはりロスが大きいです。(長野冬季オリンピック施設などは負担になったまま、苦しんでいます)

もちろん、子供たちへリアルな感動を与えるという意味では、世界的なスポーツの祭典を開催することには大いに価値があるのも認めます。

75年前と同じような課題を抱えている東京オリンピックの存在。
理念は誰もが賛同できるワクワクするイベントではあるものの、計画性が甘く、コスト見積が狂い、実際は、大幅に膨らむ。

日本人(東京の行政サイド)は失敗を反省できずに、過去の経験を活かせない国民なのでしょうか。それとも、監視すべき市民、都民、国民が国際的なお祭りイベントに喜びを感じて寛大なのか。

その割には、問題が露見すると、騒ぎ立てています。
このワンパターンから脱出していきたいと考えます。

あなたは、直接、関係することのほとんどない国家的規模のイベントである、オリンピックをどう思いますか?

もしかしたら、同様なパターンが自分の勤め先や組織で起きていないでしょうか?失敗を許さないという不寛容さではなく、同じことを繰り返さない為に、何をするのかという観点を忘れては、組織も個人も成長を見込めないのではないでしょうか。

今回のような地味なイベントにも参加してみて、知らない知識を得ることができました。是非、知識や情報を吸収する意欲は、常に持ち続けると、新たな発見が生まれてきます。

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投稿者プロフィール

安斎 輝夫
安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。